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決済システム (外為円決済) 日経新聞11月5日号によれば、全銀協が外為円決済システムのシステミック・リスクを抑制する施策を来年にも導入するということです。 システム対応策を年末までに詰めて、出来れば来年には導入する。実現すれば、仮に大手銀行2行が同時に破綻しても、決済クラッシュには至らないというのです。 大変、良いことだと思いつつ記事を読んでみましたら、ネッテイングした尻取りを現在の1日1回から数分毎に行なうということだけでした。正直な感想は、今ごろ、何でこんなことを検討しているのだろうということです。 外為円決済制度は、東京銀行協会が米国のCHIPSに遅れること10年の1980年に発足させました。現在は、直接加盟金融機関が40行、事務委託銀行が約200行です。2000年度の取り扱い件数は約940万件、金額は約6500兆円だそうです。実にGDP10年分以上の巨大な取り扱い額です。1989年3月からは、日銀ネットに委託して支払い指図の交換、交換尻の計算を行なっています。交換尻は、東銀協の日銀当座勘定と加盟銀行の当座勘定との間で毎日午後2時30分に決済されます。1営業日当り26兆円前後の決済を行なっていますので、仮に加盟行の支払い不能が発生したら大変なことになります。最悪の場合は、世界の金融システムがパニックとなってしまいます。そこで、東銀協では、ネット受取限度額や、仕向超過限度額を設定することで、特定銀行への決済額集中を制限したり、ネット受取限度額の5%を担保として国債を出させたり、流動性不足の銀行に対して資金供給を行なう仕組みや、不払いが発生した場合のロスシェア・ルールを定めています。ただ、一件あたり7億円近い決済ですので、最終尻の交換回数が多い方が、万一の場合の影響を分散できます。日銀ネットのようにリアルタイムであれば、はるかに安全ということになります。 銀行協会は、取引状況をみながらリスク・シミュレーションをしているのでしょう。仮に最大規模の銀行が支払い不能となってもシステミック・リスクには至らないように取引制限が行なわれています。ところが、近年の合併により大手銀行の規模が急激に拡大してしまったので、従来の前提が変わってしまったのでしょう。そこで最大エクスポージャーを抑制する為に、尻取りの回数を増やす検討を始めたのでしょう。今から思えば、日銀ネット稼動時か、RTGS導入時にやっておけばとも思いますが、ここまでの業界再編を読めた人はいないでしょうから、仕方ない話です。 銀行員といえども、決済システムの仕組みを熟知している人は極めて少数です。ましてや銀行業以外で働く人達にとっては、どのような仕組みかは想像できないと思います。私は、1986年に日米の決済システムを比較調査したことがあります。その時に感じたのは、基本的には麻雀の精算と同じだなということです。CAPSだとかバイラテラルのネッテイングだとか、様々なルールや用語がありますが、それらはあくまでもエクスポージャーの抑制と決済不能時の処理ルールです。しかしながら、長年の経験に基づいて良く出来た仕組みであります。以前、某テレビ局が、銀行決済のクラッシュを特集する番組を企画して、パニック発生のシナリオを作ってくれと言ってきました。大変、有名なキャスターでした。私が、クラッシュを防止する策を何重にも手当てしているし、徒に不安を煽る番組に協力できないと言いましたら、とても不機嫌な様子でした。以来、私のマスコミ不信が始まったようです。 今回の外為円決済の仕組み変更は、リスクの実態と利便性を考えた改正案なのでしょう。また、銀行協会のデイスクロージャー(PR)の一環であるとも言えるでしょう。ただ、ここでもシステムが即応できず、長時間の検討と開発を行なわなければ改善出来ないということに、不甲斐ない気持ちがすることも事実です。
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